証拠を受け取った後──依頼者の“人生再構築”が始まる

調査終了はゴールではない──本当の戦いはここから始まる

調査員SがAさんに証拠を手渡した翌週。
事務所には、Aさんから一通の連絡が入った。

「証拠を見て、離婚を視野に入れています……。
でも、どうすればいいかわからなくて……。」

ここからが、探偵社として最も重要な“アフターフォローの時間”だ。

証拠を取って終わり──
そんな仕事ではない。

特に神戸三宮は
弁護士と連携した依頼者支援に力を入れているため、
むしろ調査後の数週間が本当の本番と言える。


◆第17章 神戸の弁護士事務所へ同行──依頼者の心理ケア

Aさんは、証拠を見て心が崩れていた。
泣いたり怒ったりではなく、ただ静かに沈んでいる。

調査員Sは、こうした依頼者を何百人と見てきた。

浮気の証拠を掴んだ直後は、
「怒り」ではなく「喪失」が依頼者を包む。

その状態のまま弁護士の元へ行くと、
必要な“要求”を整理しきれずに損をしてしまう。

だから探偵は、弁護士に会う前に必ず
依頼者の整理サポートを行う。

▼SがAさんに問いかけた内容

子供の親権はどうしたいか

慰謝料は請求するか

財産分与はどう考えるか

別居のタイミング

配偶者との今後の連絡手段

証拠をどう使いたいか

今最も心配していることは何か

Aさんは、震えながらも一つずつ答えた。

そのすべてをメモし、
Sは弁護士へ送る“事前整理書”を作成する。

これがあるだけで、
弁護士面談は驚くほどスムーズになる。


◆第18章 弁護士の最初の反応──“プロが見て有効な証拠”とは何か

後日、Aさんは神戸市中央区にある弁護士事務所へ。
Sも同行する。

弁護士はSが撮影した証拠を確認し、
静かに頷いた。

「……これは強いですね。」

浮気調査の証拠には“強度”がある。

▼裁判で強い証拠

ホテルの出入りの撮影

同伴者の顔が明確

日時が複数日揃っている

行動の継続性がある

同一人物であることが確認できる

LINEやメッセージの補強資料

対象者の移動ログ(合法的な範囲で)

これらが揃うと、慰謝料は跳ね上がる。

弁護士は続けた。

「これなら示談でも裁判でも、十分戦えます。
Aさん、あなたの立場は非常に強いですよ。」

Aさんは涙を流した。

それは傷ついた涙ではなく、
“無力じゃなかった”と理解できた涙だった。


◆第19章 夫側からの“反撃”──調査後に必ず起こる心理戦

浮気をしている側の多くは、
証拠を突きつけられると逆ギレする。

夫も例外ではなかった。

「お前が探偵を雇ったから信頼が壊れた」

「ホテルには入ったけど何もしていない」

「仕事の相談をしていただけだ」

「写真は偶然のタイミングだ」

「訴えるぞ」

これらは浮気調査の“テンプレ反応”だ。

しかし、Sが集めた証拠を前にすれば何の効力もない。
弁護士は淡々と言い放った。

「これだけ揃っていて、“何もしていない”は裁判で通りません。」

夫側は沈黙した。


◆第20章 示談交渉──探偵の証拠が使われる瞬間

弁護士と探偵が組んだときの強みはここだ。

■慰謝料の相場

通常の浮気慰謝料は 50〜150万円 が一般的。
しかし、

複数回の証拠

旅行・ホテルの滞在

長期間の不倫関係

妻への精神的損傷の大きさ

相手女性への請求

対象者の経済力

これらが加わると、
200〜300万円以上も珍しくない。

Aさんの場合も、
弁護士は“強めの要求”を提示できると判断した。

その根拠となるのは、
まぎれもなく Sが県外まで追いかけて集めた証拠 だ。

交渉は長引いたが、
最終的には Aさんの希望額に近い慰謝料 が決まり、
示談成立。


◆第21章 離婚後の生活設計──探偵が関わる“未来の部分”

多くの人が誤解しているが、
探偵の仕事は

「浮気の証拠を掴むこと」

だけではない。

依頼者の人生が
“元の生活に戻れるように”
サポートすることも役目だ。

Aさんは、調査終了後にこう言った。

「こんなに丁寧に支えてもらえるとは思いませんでした……。」

探偵は“影の仕事人”だが、
依頼者の心の支えになることもある。

Sは最後にこう伝えた。

「Aさん、あなたは弱い人ではありません。
真実と向き合ったからこそ、前に進めたんです。」

依頼者は深く頷いた。


◆第22章 その後──Aさんの人生が再び動き出す

1年後。
Aさんから事務所に一通の封書が届いた。

「おかげさまで、今は新しい職場で働き、
子供たちと穏やかな生活を送れています。
あの時、勇気を出して相談して本当に良かった。」

調査員Sは、しばらくその手紙を見つめていた。

浮気調査の仕事は、
依頼者の“未来を守る仕事”でもある。